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2022年05月22日

エッセイ「Are you ready」

エッセイ「Are you ready」

 コロナ禍ですっかり後回しになってしまった1週1刺激。これではいけないと再開し、ちょこちょこ行動に移している。今回は桜坂劇場で公開中の映画『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』を見てきた。この映画はですね、声優学校の学生……特に女子に見て欲しい。あなたの未来に起こり得るあれこれだ。
 舞台は90年代のニューヨーク。作家を夢見るジョアンナはニューヨークの友人を頼って大学の休暇をちょっと有意義に過ごすつもりで田舎から出てくる。憧れのニューヨークで過ごすうちに子供の頃の「自分も成功者になってキラキラした世界で暮らしたい」という夢を思い出す。田舎の恋人に「もう少し滞在する」といいつつニューヨークで就職活動を始め、J.D.サリンジャーを抱える老舗出版エージェンシーで敏腕編集者のマーガレットのアシスタントとして働き始める。作家への一歩と息巻いたのも最初だけ。世界中からサリンジャーへ届くファンレターへ味気ない定形文を返信、テープ起こしやマーガレットの理不尽な扱いに忙殺され、焦りを感じながらも創作から遠ざかってしまう。
 プライベートでは古本屋で出会った作家志望の男性と恋に落ち同棲を始めるが、ジョアンナの意見を尊重しない彼の態度や価値観の違いに溝を感じ始める。別れがチラつくが、誰も頼ることができないニューヨークで1人で生きてゆく覚悟ができないジョアンナは妥協してしまう。そんな中、田舎に残した恋人から「会いたい」と手紙が届き、心が揺れ動く。
 映画を見ながら「ああ、私もあったなこんなこと」などと自分の来し方をぐるぐる振り返ってしまった。私も経験があるが、鬼上司の理不尽に思える厳しい仕打ちにはちゃんと意味があった。それがわかったのは40代だろうか。恋人はいたら楽しいかもしれないけど、夢の実現に奮闘する私の足を引っ張るのなら、そんな恋人はいらない。そうわかったのは散々ダメ男に振り回されて20代、30代を潰してしまってから。だからこそジョアンナの甘さや悩み、寂しさが痛いほどわかる。
 成長には心の擦り傷、切り傷、骨折がつきものなのだ。できるなら怪我をしないで成長し夢を掴みたいものだが、残念ながらイージーモードはない。辛いこと、悲しいことが心を強くし、自分以外の誰かを思うことができる人間へと押し上げてくれる。その覚悟ができた者だけに道は開けるのだ。
 夢に向かって歩いている女子たちよ。この映画を見なさい。ジョアンナはあなた。ジョアンナは私。映画の中でジョアンナは失敗しながらも覚悟を決めた。あなたは? 私は? そう映画が問いかけてくる。私は人生の折り返し地点を回ったが、理想はまだ彼方。もう一度覚悟を決めてギアを入れねばなるまい。


桜坂劇場公式サイト https://sakura-zaka.com


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[著者]遠藤達哉



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