てぃーだブログ › すぎすぎ屋

2024年11月19日

本のことなど 『死んだら永遠に休めます』

『死んだら永遠に休めます』
遠坂八重・著 朝日新聞出版

タイトルから上手いな〜と思いました。
「死んだら永遠に休めます」なんて。
タイトルからお察しの通り、主人公の青瀬は上司からの執拗なパワハラ、終わらない仕事に捲し立てられ思考が死んでいる。
寝ていたい、休みたい、会社に行きたくないと思いつつも、朝になるとゾンビのように起き上がり満員電車に乗って出勤する。
ある日、パワハラ上司が失踪を仄めかすメールを社内一斉メールで送り、騒然となる。
パワハラから解放されたと思ったのも一時。
失踪中の上司から「部下に殺された」というメールがまたしても一斉送信される。
ただでさえ毎日が一杯一杯の青瀬はさらに追い詰められるが、青瀬が教育係を勤めているふわふわ天然女子・ニナが上司を探そうと持ちかけてくる。
青瀬の視点で物語は展開していくが、真の主人公はニナでは?
謎解きの段階で新感覚ミステリーということがわかった。
天然派遣探偵ニナとかで、シリーズになるのでは?
楽しみにしています。
それはさておき、ブラック企業で働く人…もしくは社畜と呼ばれるような人の心情はこうなのだろうか。
考えなくてはいけないけれど、考えたいけれど考えられない。
処理したいけれども、優先順位がわからない。
抜け出したいのに、何もかもに疲れ切って抜け出す算段が立てられない。
実は、今の日本はこういう人がいっぱいいるのかもしれないと思うとミステリーとは別のところでゾッとした。
ラストはスッキリ爽快とはいかないが、それがリアルだった。
青瀬視点なので、全編通して息苦しい展開だが、逆にそれが呼水となり1日で読んでしまった。
ぜひ。

#だらめま #NetGalleyJP





本の感想とは別に・・・
青瀬のような人は実際にいる。(本を読んでね!)
某所で一時期一緒に仕事をしていたAさんだ。
勉強はできるけれども、仕事が壊滅的にできない人だった。
学校の成績はいいので、それまでの人生、褒められることしかなかったらしい。
しかし、社会人として働き始めて始めて「仕事ができない」ことが発覚する。
まず、やらなくてはいけない仕事のテーマがわからないのだ。
だから何をさせてもやって欲しい事をやってもらえない。
注意する。
注意されている時は「わかりました」と素直に聞いているが・・・全く改善されずまた同じ失敗をする。
誰しも失敗はある。
私なんか失敗だらけの傷だらけだ。
だが、失敗も経験。
失敗から学び、2回目は失敗しなくなる。
失敗しても何らかの成長がある・・・はずなんですけど!
Aさんの場合は本当に成長が見られなかった。
何故だろう。
私の伝え方がまずかったのだろうかとものすごく悩んだが、そうではない。
じっくり観察していると、Aさんは自分は優秀だというプライドと、
それまでの人生挫折を知らずに生きてきただけに出来ない自分を受け入れられずに
注意されると「本当に」右から左にスルーしているというのがわかった。
ここまで何十年もかけて築かれたものを私ごときがどうすることが出来ようか。
それに気づいた時に全てを諦め、Aさんに注意したりアドバイスすることをやめた。
その時点で私はAさんから見ると「Aさんを否定する悪者」
「優秀なAさんを認めない悪者」になっていた。
それはもう仕方ないと思っている。
その時、注意しないと仕事が回らなかったから。
しかし、Aさん以降、私はそのような方に必要最低限しか関わらないようになった。
お互い精神的に消耗しますしね。
きっとあなたと波長が合う人が・・・合わせてくれる人はいますよ。私以外で。
今でもふと思う時がある。
私が悪かったのか。それともAさんが悪かったのか。
あるいは誰も悪くないのか。
どう対応するのがいいのか。
正答があるなら知りたいなどと思ってしまう。  

Posted by ぱな87 at 20:35Comments(0)本のことなど

2024年11月18日

本のことなど 『怖い噂のあるお店』

『怖い噂のあるお店』

八月美咲・著 主婦と生活社


「怖い場所」超短編シリーズ 第3巻
隙間ホラーというか。
1話が短いので小学校の高学年くらいから読めるのではないでしょうか。
サックっと読めるので、次はどんな話かなとページをめくる楽しさがあります。
どの物語も、最初は何気ない日常の中に差し込まれた小さな違和感。
気がついたら実はとんでもない恐怖に巻き込まれている。
ショートストーリーだけに、発想と展開の難しさがあると思いますが
それを含めて楽しく恐怖しました。
シリーズの次回作はどんな「場所」なの。期待が膨らみます。

#怖い場所シリーズ #NetGalleyJP


  

Posted by ぱな87 at 12:49Comments(0)本のことなど

2024年11月17日

本のことなど 『撮ってはいけない家』

『撮ってはいけない家』

矢樹 純・著 講談社

呪ってなんだろうなと考えているところに読んだ作品。
導入はややスロースタートのように感じましたが、読み始めると作品に没入するのにそう時間はかかりませんでした。
物語は映像制作会社で働く主人公・杉田佑季がホラードラマを撮るためにロケハンするところから始まる。
ロケ先は先輩で上司でもある小隈の再婚相手・白土紘乃の実家。
ホラーは好きではないが、先輩である小隈が関わることだけに、失礼のないように進めたい。
効率よく進めて早くホラードラマから抜けたい。
怪談大好きな後輩・阿南に少しうんざりしながらも杉田佑季は仕事に取り組む。
違和感を感じつつも、ドラマの撮影が始まる。
1日目の撮影を終えて、杉田佑季も可愛がっている小隈の息子・昴太の姿が見えないことに気づく。
昴太が行方不明になったことをきっかけに、白土家の呪いが解き明かされていく。
呪いが発動するまでの時間と、行方不明になった子供の安否といった二重のタイムリミットがより作品に引き込む鍵だったと思います。
早く謎を解いて、昴太を助けなくてはと焦る杉田佑季と同じ気持ちでページをめくっていたと思います。
最初は、リアルにこんな子がいたらちょっと面倒だなと思っていた阿南がだんだん頼もしい存在に感じてきたのは面白かったです。
「阿南くん、今、出番です!」とばかりに。
ラストはジャパニーズホラーらしい終わり方だったと思います。
ホラーサスペンスという感じでしょうか。
読み応えありました。
作中、多分公開されないかもしれないホラードラマの物語の作品化があったらいいなと思っています。

#撮ってはいけない家 #NetGalleyJP


  

Posted by ぱな87 at 10:44Comments(0)本のことなど

2024年11月14日

週刊レキオ「ウチナーグチしりとりバトル」11月

毎月第2木曜日は週刊レキオ・ウチナーグチしりとりバトルの日ですよ!
11月のウチナーグチは・・・「ヤールー」
ヤモリのことですね!

ヤモリ
沖縄では身近な動物ですよね。
夜、小さいヤモリが「ケッケッケ・・・」と鳴くのは可愛いですけど
大きくなると「クエックエックエッ・・・」と鳴き声の迫力も変わります。
きっちり窓やドアを閉めていても、どこから入ってくるのか。
事務所で深夜仕事をしていると、いきなり始まる大運動会。
天井?
壁?
スタタタタ・・・タタタタ・・・と心霊現象ではなく、ヤモリが走り回る音が聞こえてきます。
「あー・・・いるな〜・・・」
ヤモリと「何か」が。
きっとしとめてくれるんだろうと信じ、放置しています。
そういえば、先日事務所から帰ろうとドアを開けると、めっちゃ小さいヤモリが落ちてきて。
私も驚いたが、あっちも驚いてた!
ほんと、頼みますよ・・・


次は「る」から始まるウチナーグチ、待ってます。
「る」かあ・・・
「ん」よりハードル高くないですか?




ウチナーグチしりとりは週刊レキオ編集室まで。
応募先
【メール】
info@lequio.co.jp
締め切りは11月21日(木)

①住所
②氏名
③電話番号
④ペンネーム(任意)
⑤お題の回答 選んだ理由やエピソードも教えてください。

【ハガキ、お手紙】
〒900-0001
那覇市港町2-16-11 琉球新報開発ビル2階
新星出版内週刊レキオ編集室 ウチナーグチしりとり係
〆切 11月21日(当時消印有効)

【メール】
info@lequio.co.jp
締め切りは11月21日(木)


欄外的ラジオ「レキオDEウチナーグチしりとりバトル」はこちら。
⬇
  

2024年11月10日

本のことなど 『読書の森に寝転んで』

『読書の森に寝転んで』

葉室麟・著 文藝春秋

今回は朗読部門向けの話が多くなります。

葉室麟さんの読書ログ的なエッセイ。
こちらも今年度の九州高校放送コンテストの課題図書。
今年度は4冊の課題図書がありましたが、実はこの本が一番難しかったかも?

課題図書のジャンルとしては大体以下の通り。
現代小説。今年度は町田そのこさんの『コンビニ兄弟』
外国文学。ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』
日本の文豪。松本清張『或る「小倉日記」伝』
そしてエッセイが本書。
全国大会では古典が加わります。源氏物語とかね。

エッセイは、著者が感じたこと、考えを記す文学。
枕草子がエッセイ。
清少納言が感じたことを書いてますよね。あれ。
何をテーマにするかによって語り口や印象は変わりますが、基本的に自分のことを書くので
『車輪の下』や『或る「小倉日記」伝』などの小説とは違って
少し肩の力を抜いて、著者が語るように…
つまり普段着のような感じで朗読できるとベストではないかと考えています。
なので、私は趣味の朗読講座でエッセイを課題に取り上げることが多いですね。
自分の事として読めるから。

さて。
本作は本の紹介なので、いくつか難しいポイントがありました。
1つ目は、エッセイの中で本のあらすじが紹介される。
ということはですよ?
あらすじを紹介するために、一部小説のような展開が含まれることも。
コンテストでそのような箇所を選んだ子がいました。

2つ目は、葉室さんが紹介している本を読んだか読まないかで表現に差が出る。
葉室さんの読書量たるや。
知らない作家さんもいましたし、作家は知っていても読んだことのない本もありました。
本作を読む上で、「ここを朗読しよう」と思った本も読んだかな〜?
エッセイの一読者であるならば、紹介された本を読まずとも
「へ〜こんな本があるんだ」
とか
「葉室さんの見方はこんな感じなんだな」
などと感心し、「いつか読んでみよ〜」で終わっていいのですが
朗読する…となると、紹介された本を知らずしてはちょっと難しい。
どんな感情で読んでいいのか判断しにくいから。
今回、そこまでやった子はいるのかな〜?
この作品を選んだ子が少なかったので、難しいなと思ったのかもしれないですね。

3つ目は葉室さんとの年齢差
葉室さんがこのエッセイを書いたのはおいくつくらいか。
50代は超えていたのではないでしょうか?
また、時代小説の作家さんでもあるようですので、言葉の選び方が高校生にはちょっと難しい部分も。
なので、まだ声や語り口が成熟しきっていない高校生が朗読するのは難しい部分もありました。
どこを読むかによって難易度がかなり変わる作品でした。
それを感じさせないのが技術ということになると思いますが…。

群ようこさんも読んだ本を紹介するエッセイがあります。
作家がどんな本を読んでいるのか興味あるので、このような本は個人的には楽しいです。
直接作品に関係する部分は明かさないとは思いますけど
膨大な知識を下敷きに、作品が生み出されるのかと思うとただただ唸るばかりです。
本書で紹介された本も気になりますが、葉室さんの作品も読んでみようと思いました。

おしまいに
この文庫本の最終章は、葉室さんが病床で取り組んだ作品のプロットも。
葉室さんの頭の中には書きたいことがたくさんあったんだなと思うと、
タイムリミットがあることが歯痒いばかりです。
だからこそ、積読などせずにさっさと読まねば。
明日と言わずにやりたいことをやらねばと思います。


  

Posted by ぱな87 at 23:15Comments(0)本のことなど

2024年11月09日

本のことなど 『或る「小倉日記」伝』

『或る「小倉日記」伝』

松本清張・著 新潮社

分厚い文庫本です。
こちらも今年度の九州高校放送コンテスト 朗読部門の課題図書。
そして30数年前、高文祭だかの課題図書で、私も読んだ。
読んだけど、こちらも綺麗さっぱり忘れていた。

「うむむ…松本清張かあ…難しそうだな」と思っていましたが、
表題作を含む短編集なので、割とスッと読むことができました。
スッと…といってもテーマは重い。
人間の暗いところというか。
醜いところ。
嫌なところ。
その負の部分は、決してそれだけが存在するのではなく、
明るい部分…例えば向上心の裏返しだったり愛情の裏返しだったりする。
影があれば光がある。
光があれば影がある。
それぞれ表裏一体で、片方は存在しない。
人の心の暗いところを淡々と書き尽くしていました。
淡々としているから余計に突きつけられ、ゾッとしました。
どれだけ他人と、自分の感情を冷静に観察したらあのような話が書けるのだろう。
「人間とは」と考える一冊。
ぜひお読みください。

さて。
先に書いたようにコンテストの課題図書でした。
大人でも難しいなと思う人間の感情を高校生がどれだけ理解して、音声表現できるか…かなりのハードルです。
どの作品もそうですが、いかに作品を理解するか。読み解くかが重要です。
この作品を選んだみなさんは、まだ理解が足りないと感じました。
もしくは理解していても、音声化の技術が足りないか。
人生経験17年とかですしねえ。
(私などより過酷な経験をしている子もいるかもだけど)
そこで不倫に走ったり、殺したいと思うほどの嫉妬などを理解しろというのは難しいですよね。
私も自信ありません。
でも、少ない直接体験と間接経験から想像はします。
他人が書いた作品とはいえ、人間の感情を表現するのですから、あるところで無傷ではいられません。
というのは、登場人物の感情を自分の中で探す作業が出てくるからです。
その感情は必ずしも明るく前向きなものとは限らない。
考えることで過去の嫌な出来事を思い出し、不快になることもあるかもしれません。
自分の心を守りつつ、感情を探す作業は大変だと思いますが、作品と向き合うとはそういうことではないでしょうか。

表題作の『或る「小倉日記」伝』のラスト。
母親が聞き取りにくい息子(主人公)の言葉を聞こうとするシーン。
主人公の病状は思わしくなく、唯一の友人もお見舞いに来たというよりも別れの挨拶に来たような状況。
そこで主人公が何か言っている。
さて。そんな時、あなたはどんな気持ちでしょうか?
必死で聞き取ろうとするのではないでしょうか。
母の「どうしたの?」という台詞には、切迫、焦り、必死さが滲むのではないでしょうか?
作品には、母は切迫した様子で聞いた…などとは書かれていません。
その辺りを読み解くのが朗読者の第一の仕事となります。
もっとわかりやすく説明すると、映画など実写化したとしましょう。
母親役の役者さんが、今にも死にそうな息子を前に気安い調子で「どうしたの?」と聞いたらどう感じるでしょう?
もしくは、役者さんがどのような演技をすると考えますか?
そういうことなのではないでしょうか?

もしかしたら…ですが、放送コンテストの朗読部門では「過度な演劇調は避ける」という項目があります。
そのために棒読みに?
でもですね、あくまでも「過度な」ですから。
適度な感情表現は良いわけです。
その「適度な」が難しいんですけど。
決め打ちではなく、いろいろやってみて絞っていくしかないのでは?
それと、プロの朗読を聞いてみるといいと思いますよ。
同年生のものより参考の宝庫だと思います。


  

Posted by ぱな87 at 00:46Comments(0)本のことなど

2024年11月07日

本のことなど 『車輪の下』

『車輪の下』
ヘルマン・ヘッセ 著  岩波文庫

こちらも今年度の九州高校放送コンテスト 朗読部門の課題図書。
課題図書は外国文学、日本の文豪の作品、現代小説、エッセイ
夏の全国大会では古典が加わったりします。
本書は外国文学ですね。

実は私が高校時代にも全国だったか、九州だったか忘れましたが朗読部門の課題図書でした。
読んだことがあるので1冊は読まなくてもいいな、楽勝! と思っていましたが時の流れは残酷なものです。
なんてったって30年以上前の話ですからね。
すっかり忘れてて、もちろん最初から読み直しました。

主人公のハンス・ギーベンラートは、小さな田舎町では神童と呼ばれるほど賢い子供。
親はもちろん、学校の先生、地域の人々は大いに期待をかけます。
小さな田舎町から立身出世するには神学校へ進学するしか道はありません。
大人たちの叱咤激励を素直に受け止め、ハンスは猛烈に勉強に取り組み、神学校を2番で合格します。
受験勉強からの束の間の解放を経て、神学校での勉強日々が始まります。
少なからず同じ志を持った同年代との交流は、ハンスを学問の高みに押し上げるかと思いきや
これまで大人たちのいう通りに生きてきた自分への疑問から勉強に身が入らなくなり、優等生の地位を転落してゆきます。

「ああ、お受験の話だったな」と読みながら思い出しましたが
作中でひどい頭痛に悩まされるハンスのように、最後まで息苦しい内容で
読み終わった後はやるせない気持ちがずっと残りました。

ヘッセがこの作品を発表したのは1905年。
119年も前の作品ですが、子供たちを取り巻く環境はあまり変わらないかもしれません。
少し先に生まれ、いろいろ経験した大人は、ともすると子供に横柄な態度を取ったりします。
「大人の言うことを聞いていれば間違いない」と。
果たしてそうでしょうか?
私自身も専門職として声優になりたいという子供たちに教える機会があるのですが、
ハンスを取り巻く大人のようになっていないかと思い、ゾッとしました。
確かに大人は子供に比べると多くの経験をし、「正しい」判断を下すこともできるかもしれません。
でも、その判断はその子にとっての絶対的最善なのでしょうか。
考えてしまいました。
私には子供はいませんが、できるなら彼らが自分の人生を選ぶ際に最良を判断できる材料になったらいいなと思います。

そういえば高校時代に読んだ時には「大人なんて」と大人が押し付けてくるエゴに反吐が出ましたが
今回は大人の側から恐ろしいと思いましたね・・・ええ。
同じ作品を時間を置いて読み返す意義ってこういうところにあるのかもしれませんね。

ちなみに。
コンテストの朗読部門で外国文学を選ぶのはかなりハードルが高いと思います。
まずは文化。
舞台となる国や時代の文化がわからないと、解釈できないことも多くあります。
今回は神学校のことでしょうか?
次に翻訳者の力量にも左右されること。
今回、いくつかの翻訳に触れたのですが、翻訳者によってかなり読みやすさが異なりました。
岩波文庫は音声化した際も比較的スムーズでしたが、それでも難しいと感じました。
最後に日本文学と外国文学の違いとでもいいましょうか。
同じ「小説」でも、文学に対する姿勢の違いがあるようです。
とある小説家によると、外国文学は「長く書くことに意義を持っている」そうで・・・1つのことを比喩するにしても長い。
上記の指摘が本当かどうかははっきりしませんが、確かに長いかも。
有名なアメリカの小説家が自分の創作の話を書いている本を読んだのですが
生まれるところから始まっていて・・・
いや、いいんですけど。
多分必要な情報だと思いますが、知りたいところに到達するまでに飽きてしまって止まってます。
とにかく、主人公の心情を考える前に文化の違いによって、考え方も違うというのを知っておかないと
正確に理解できないということですね。
ということで、私はコンテストで外国文学を選ぶのはリスクが高いので回避してきました。
もちろん、声や語り口が外国文学とピッタリくる人もいると思うので私の判断は絶対ではありません。
ただ、ハードルは高いんだなと思って準備すればいいと思いますよ。

それにしても『車輪の下』
救いがなかったですね・・・ヘッセはなんであんな話を書いたんだろう。
行きすぎた教育ペアレンツや、社会に対する批判だったんだろうか・・・うむむ。


  

Posted by ぱな87 at 18:38Comments(0)本のことなど

2024年11月07日

本のことなど 『コンビニ兄弟-テンダネス門司港こがね村店』

『コンビニ兄弟-テンダネス門司港こがね村店』全3巻
町田そのこ・著 新潮社

タイトルに門司港とある通り、北九州の門司港にあるコンビニが舞台の小説。
人を虜にするフェロモンダダ漏れの色男・志波三彦はコンビニ・テンダネスの雇われ店長。
俳優かモデルかという感じの志波目当てに、老若男女が毎日テンダネス門司港こがね村店に押し寄せる。
最初はフェロモン店長をめぐる恋愛物語かな〜と思ったのですが、そうではなく
漫画家志望の塾講師や、人間関係に悩む女子中学生、高齢者専用マンションの住人など、
コンビニ・テンダネス門司港こがね村店の客と、フェロモン店長たちが織りなす、泣き笑いのヒューマンドラマです。
とにかく登場人物が濃くて、笑って笑って泣きました。
コンビニって利用する側からすると大体は、欲しいものを購入してサッと帰る場所。
しかし、店側から見ると実にいろんな人間模様が見える場所かもしれません。
誰だって「単なる客」のような記号的な存在ではなく、その人の人生があると思えばフェロモン店長・志波のように一期一会の気持ちが持てるかも。
そんな人間になりたいものです。

実は今年度の九州高校放送コンテストの課題図書。
コンテストきっかけで手に取りましたが、あまりの面白さにいつしか没頭。
ファストフードで読んでて、感動で泣くという恥ずかしい事態にも。

著者の町田さんは九州在住で作家活動をなさっているそうです。
今や地方を拠点に活動する作家さんは珍しくありませんが、インタビューで「この地域が好きだから」というようなことをおっしゃっていました。
その言葉通り、地域と、人間に対する愛情が感じられる作品で、門司に行ってみたくなりました。
実は高校時代に放送コンテストで九州には何度か行っているのですが、決勝まで残ると遊ぶ暇ってないんですよね。
いや、決勝まで残りたいけど。
という事情で、行っただけで会場と宿の往復だけだったというね。
行きたいところはいっぱいあるけれど、門司観光を目標に頑張ろ。
テンダネスもあったりして。(妄想)


  

Posted by ぱな87 at 17:44Comments(0)本のことなど

2024年10月20日

本のことなど 『わたしと一緒にくらしましょう』

『わたしと一緒にくらしましょう』
尾八原ジュージ・著 KADOKAWA

ちょっとずつ読み進めようと思って本を開いたら、止まらずに一晩で一気読みでした。
前作『みんなこわい話が大すき』の志朗と黒木が帰ってきた!

物語はシングルマザーの美苗が父母と祖母、兄夫婦と共に曰く付きの豪邸で暮らすところから始まる。
仕事に復帰したものの、幼い子供を抱えながらの生活は美苗を疲弊させる。
そんな時、実家からの「一緒に暮らそう」という申し出に、申し訳ないと思いながらも頼ることにする。
破格値で購入した家は、広々と綺麗で7人で使いきれない部屋があるほど。
気になるのは「絶対に入ってはいけない部屋」があるということ。
引っ越してしばらくしたある夜。
寝静まった家の中を誰かが歩いている気配を感じる。
入ってはいけない部屋が頭をよぎったが、
美苗一人では整えられない環境を考えると足音くらい我慢しなくてはと思う。
しかし、ある日、娘が入ってはいけない部屋に入ってしまったところから事態は急変する。
霊能者が音を上げた曰く付き物件。
「家族」に執着する兄嫁。
魂の半分を「何か」に捉えられた娘はどうなるのか。
解決できるのかと息を殺してページをめくっていくと、物語は「よみご」の志朗と黒木につながってゆく。
そこからの畳み掛けが見事。
食材を入念に下準備し、一気に仕上げていくかのようにクライマックスに向かって突き進む。
充実感と次への期待溢れるラストを是非とも味わって欲しい。

#わたしと一緒にくらしましょう #NetGalleyJP


  

Posted by ぱな87 at 23:13Comments(0)本のことなど

2024年10月10日

週刊レキオ「ウチナーグチしりとりバトル」10月

ウチナーグチしりとりバトル10月!

4月から週刊レキオで連載の機会をいただきました「ウチナーグチしりとりバトル」掲載日です。

10月10日号のウチナーグチしりとりバトルは…「か」からはじまるウチナーグチということで

カジマヤー!

欄外的ラジオ「レキオDEウチナーグチしりとりバトル」のために作った
自作のカジマヤー、せっかくなのでご覧ください!



風車という意味ですが、数えで97歳のお祝いでもあります。
他にも沢山ご応募いただきありがとうございました。

参戦くださる方のコメントで意外とあるのが「このウチナーグチの由来を教えて」というもの。
いやいやいやいや。
由来までは〜汗
そこまで頭良くないんで!
今回の連載は研究者や、ウチナーグチネイティブの立場でのものではなく、
あくまでも教わる立場なのです。
寄せていただいた言葉から私も学んでいますし、
そこから考えたり、感じたりしていることをエッセイとしてまとめているものですので・・・
あっ、なんか上から目線でしたかね?
だんだん心配になってきました・・・
しかし、この連載で「なんか知ることができるかも?」と注目してくださるのは嬉しいです。
こちらこそ「ムンナラーシキミソーリ」
あってるかな?

カジマヤーを受けて、次は「や」からはじまるウチナーグチ、待ってます。


【応募先】ウチナーグチしりとりは週刊レキオ編集室まで。
①住所
②氏名
③電話番号
④ペンネーム(任意)
⑤お題の回答 選んだ理由やエピソードも教えてください。
【ハガキ、お手紙】
〒900-0001
那覇市港町2-16-11 琉球新報開発ビル2階
新星出版内週刊レキオ編集室 ウチナーグチしりとり係
〆切 10月17日(当時消印有効)
【メール】
info@lequio.co.jp
締め切りは10月17日(木)

欄外的ラジオ「レキオDEウチナーグチしりとりバトル」はこちら